山猫が見た世界

生息地域:東京、推定年齢:40歳前後、性別:オス

ドラマ:「宇宙を駆けるよだか」

もう20年ほど前になるでしょうか。今のように音楽のダウンロード配信などなかったころ、ミュージシャンや作品について全く予備知識を持たずにCDのタイトルやジャケットを見てピンと来たものを買う「ジャケ買い」をするのが好きでした。そして、現代。Netflixのアプリを立ち上げてタイトル画像から面白そうな作品はないかと物色していると、ジャケ買いをしていた頃をふと思い出します。

さて、そんなふうにタイトルと表題画像だけで選んで観て、(良い意味で)ぶったまげたのが「宇宙を駆けるよだか」です。同名の漫画の映像化作品であることも、ジャニーズ事務所の同じグループ所属の二人がダブル主演であることも、Netflixオリジナル作品であることも知らず予備知識ゼロで観始めたのですが、これがとんでもなく素晴らしい作品でした。

物語のテーマそのものは「体の入れ替わり」「幼馴染の三角関係」などの使い古されたものです。ですが、登場人物の心理描写の掘り下げや、あちこちに伏線を張った緊張感ある展開により、骨太な、とても見応えのある重厚な作品に仕上がっています。テレビドラマのように視聴率の影響を受けて展開が左右にブレるのではなく、最初から最後まで淀みなく話が進んでいくのが良いですね。

主人公である4人の高校生を演じる俳優たちの鬼気迫る演技も素晴らしく、作品のクオリティをぐぐっと押し上げています。あと、基本的にシリアスな内容であるにもかかわらず、なぜかメインテーマ曲が近未来的なデジタルミュージックなのですが、これが妙に作品の謎めいた世界観に溶け込んでいるのも良かったです。

こういった作品がテレビ放送ではなくネット配信のオリジナル作品として作られるというのは、本当に驚きです。日本のドラマも捨てたものではありませんね。