山猫が見た世界

生息地域:東京、推定年齢:40歳前後、性別:オス

アニメ:「ULTRAMAN」

 ウルトラマンシリーズをモチーフにした同名の漫画をアニメ化した、Netflixのオリジナル作品です。以前レビューした「宇宙を駆けるよだか」もそうですが、最近のNetflixオリジナル作品はテレビドラマ顔負けの見応えのある佳作が揃っていますね。

本作の最大の特徴は、何と言っても、モーションキャプチャによる細やかな映像。何気ない動作から激しい戦闘シーンまで、従来のアニメでは表現できなかった繊細で現実味のある滑らかな動きと、実写とイラストが融合した近未来的なビジュアルはまさに衝撃的です。ウルトラマンの最初の変身場面を見た時は、その美しさに本当に鳥肌が立ちました。実写とアニメとCGの融合による新しい形のアニメーションは、日本のエンターテイメントの1つの到達点と言えるのではないでしょうか。


本作の主人公は、初代ウルトラマンだった科学特捜隊のハヤタ隊員の息子。ウルトラマンに変身するのではなく、等身大のまま肉体を強化するパワースーツを身にまとって異星人と戦います。まだ高校生ということもあって、悩みも等身大。ヒーローものにありがちな「なぜ戦うのか」「誰のためのヒーローか」といった根源的な悩みでではなく、単に「殺生は良くない」というレベルの悩みで逡巡しています。戦力的にも圧倒的に強いわけではなく、むしろあっさりと敵に裏をかかれたり力負けして劣勢になったりしてしまいます。

このような青臭い未成熟な主人公と対象的に、彼を取り巻くのは一癖も二癖もあるキャラばかり。一緒に戦う科学特捜隊(及びその周辺人物たち)は自己中心的で協調性の無い人物ばかりですし、敵の異星人たちは戦闘の最中にもこれでもかというほど屁理屈を述べて立ち向かう者たちを愚弄し罵倒します。ときには肉弾戦よりも舌戦の方がメインになったりするのですが、これがなかなか見応えがあるのがまた面白いところです。

歴代のウルトラマンシリーズを知らない人でも十分楽しめますが、作品の随所に過去の作品に対するオマージュが散りばめられているので、ウルトラマンの世界観が好きな人はより一層堪能できるでしょう。私も再放送でウルトラマンシリーズを見て育った世代ですので、随所にニヤッとするような仕掛けや伏線を発見して心躍りました。

現在公開されているシーズン1は中途半端に終わっていて、既に公式サイトではシーズン2の公開が予告されています。続編がとても待ち遠しいです!