山猫が見た世界

生息地域:東京、推定年齢:40歳前後、性別:オス

映画:「トップガン・マーヴェリック」


「多くのファンに何十年も続編を求められていたが、準備ができていなかった。観客に戦闘機の操縦席に座っているように感じてもらえる作品にしたかった。単に続編を作るわけじゃない。限界を超えるものを作ろうという思いで作った。」

不朽の名作、「トップガン」の公開(1986年)から36年を経て、今年劇場公開された本作。今月からは、Amazon等でのオンライン配信も始まりました。 トム・クルーズは、自分の関与しないところで続編が制作されないように自らトップガンの版権を購入しており、また、絶対に劇場で観てもらいたいということで映画完成後もコロナが沈静化するまで公開を延期していたと言います(元々は2020年公開予定)。冒頭のコメントは決してリップサービスではないわけですね。

物語は、前作でトップガンアメリカ海軍のエリートパイロット養成学校)で若手パイロットとして仲間としのぎをっ削っていた主人公マーヴェリックが、教官としてトップガンに帰って来た・・・というところから始まります。往年のアイドル女優だったジェニファー・コネリーがヒロイン役を演じていることにも象徴されるように、前作の当時、1980年代の古き良きアメリカに対する懐古趣味的な要素がふんだんに取り入れられており、全編を通して「昔みたいに楽しくやろうぜ!」という雰囲気が醸し出されています。

ストーリー自体はシンプルでわかりやすいので、今回初めて見る人でも十分に楽しめる内容になっています。前半は、マーヴェリックを取り巻く人物たちの背景と関係性に関する情緒的な描写が続きますが、後半は、打って変わってコックピットを舞台とした緊張感の続く怒涛の展開。自分がパイロットになった気分になって、手に汗をかき心臓が破裂しそうな気分でストーリーを追いかけましょう!

映像の迫力は、今更言うまでもありません。できる限りCGを使わないで俳優たちが実際に戦闘機に乗って撮影したということで、フルCGを見慣れてしまった私たちでも圧倒されるほどの臨場感溢れるシーンがこれでもかというくらい次々と登場します。初代「トップガン」と同じく、この「トップガン・マーヴェリック」のこの映像も、CG技術が更に発達した何年後になってもなお観る者を圧倒することでしょう。いつのときも、どんなものでも、「その時点での最高峰」のものは時の試練に耐え得る力を備えているものです。

エンディングで、初代「トップガン」の監督でありトム・クルーズのキャリア初期の良き相棒であったトニー・スコット監督への追悼文言が出てくるのも感動的でした。本作のジョセフ・コジンスキー監督は、同じくトム・クルーズ主演の「オブリビオン」(2013年)でも実力を発揮済みで、トム・クルーズのキャリア後半の良き相棒としてこれからも良い仕事をしてくれそうです。


え、劇場版を観逃したって?配信版でも十二分に楽しめますから、是非観てみてください!