山猫が見た世界

生息地域:東京、推定年齢:40歳前後、性別:オス

映画:「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」(Star Wars: The Rise of Skywalker)

数年に一度、スター・ウォーズの新作公開のタイミングで訪れる「お祭り」が、今年もやってきました。公開が近づいてくるにつれて増してくる新作への期待と不安。自然と高鳴ってくる気持ち。そして、公開初日に高鳴る鼓動を抑えて映画館を訪れ、オープニングロールを背景にしてお馴染みのテーマ曲がブワッと鳴る、あの瞬間。全身に鳥肌が立ち、「またここに戻ってきた」という感慨で満たされて熱いものが込み上げてきます。ああ、この瞬間のために数年間を過ごしてきて良かった・・・!

本作は、ディズニーがスター・ウォーズの版権を取得して2015年から新たにスタートさせた新三部作の最終作であり、今のところ、1978年公開の第一作から41年続いた全9部作の最終話とされています。新三部作はコアなスター・ウォーズのファンには受けが悪く、特に前作「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」(Star Wars: The Last Jedi)は、失敗作という評価が定着してしまっています。さて、そこからどう盛り返して、この壮大な物語を完結させるのでしょうか?

新三部作は結局のところ、「誰と戦っているのか」「何と戦っているのか」が分かりづらいというのが難点だったと思うのですね。この点、本作は、冒頭から、今までもやもやとしていた疑問点に対して潔く明確な回答を示していきます。やはり、諸悪の根源はこの御方でしたね(笑)。戦う相手が定まったところで、ずっと謎だった主人公レイの出自が明かされ、同時に、微妙だった敵役カイロ・レンの立ち位置もはっきりします。そして、それぞれが、「相手との戦い」だけでなく「自分との戦い」にも決着をつけ、いくつかの出会いと別れが交錯し、ついに本当の意味での終幕を迎えます。総じて、変化球でかわすのではなく、原点回帰して正々堂々と直球勝負しようという制作陣の気概が感じられました。

本作の副題は「The Rise of Skywalker」、日本語版では「スカイウォーカーの夜明け」ですね。この副題は、本作の終わり方にも繋がる深い意味を内包しているのですが、ラストシーンの余韻に浸りながら改めて考えてみると、日本語題の方が良くできていますね。この日本語題を付けた人(配給会社の方でしょうか?)は、天才だと思います。

これだけ多くのファンがいる作品ですので、全員を完全に納得させることは不可能であり、実際にコアなファンによる酷評も耳にするところです。シリーズ特有の強引かつご都合主義な展開は相変わらずで、今までのどの作品よりも話の展開が早く、時々付いていけなくなることもありました。しかし、それでも私としては、見事に前作の迷走を乗り越えて、すばらしい終わり方で幕を閉じたと感じました。

実際、私が映画館で見ているときは、暗くて周りはよく見えないものの、なんとなく観客皆で歴史の目撃者になっているような連帯感を感じ、エンドロールが終わった後は、自然に拍手が鳴っていました(私も拍手に参加しました)。これまでのスター・ウォーズ関連作は全て映画館で鑑賞していますが、拍手が鳴り響いたのを聞いたのは本作が初めてでした。こういう経験ができるのも、映画館ならではですよね。